最近は、自分の身体の健康に対して関心を持つ人が増えています。血中の悪玉コレステロール値が気になっている人も多いでしょう。悪玉コレステロールが増えると、動脈硬化や脳血栓、心筋梗塞など、いろいろな病気の原因になります。そこで、悪玉コレステロールを下げる方法が重要です。
一般的に、卵を食べると悪玉コレステロールが上がる、と言われることがありますが、これは本当なのでしょうか?そこで今回は、悪玉コレステロール値を下げたい人は卵を食べない方がいいのか、調べてみました。

卵を食べるとコレステロール値は上がる?


卵は、非常に栄養価が高く、どのような料理にも使いやすいので非常に便利な食材です。しかし、一昔前までは一般的に、卵を食べるとコレステロールが上がると言われることが多くありました。卵を食べると動脈硬化などの生活習慣病の危険性が高まるというのです。食べるとしても1日一個まで、などと言われていました。
ところが最近では、「卵とコレステロールの数値は関係がないので、心配をしないで食べてもいい」と言われることが多くなっています。いったい、このどちらが正しいのでしょうか?

そもそも、卵がコレステロール値を上げると言われるようになったのは、昔ロシアで行われた実験が原因です。それは、1913年にロシアで行われたものですが、ウサギに卵を食べさせて血中のコレステロール値を調べたところ、その数値が上がるという結果が出ました。そこで、卵がコレステロール値を上げる、という説が広まったのです。
しかし、ウサギは草食動物なので、卵を食べることを想定されていません。肉や卵を食べることを予定している人間とは身体の構造が全く違うので、同じように考えることはできません。
ウサギは草しか食べないので、食べ物からコレステロールを取り込む身体の構造になっていないので、ウサギがコレステロールを摂ると、身体の中に溜め込んでしまいます。
これに対し、人間はコレステロールを食べ物から摂る構造になっているので、取り込んだコレステロールを代謝によって排出することができます。これが、草食動物と雑食動物の違いです。そこで、人間の場合には、コレステロールを摂っても、そう大きくコレステロール値が上がることはないのです。

実際に、卵を食べて、コレステロール値が上がったかどうか調べる実験は多数行われています。
実験結果において、多くのケースでは卵の摂取によってコレステロール値が上がらないことも確認されています。

このように、卵を食べても、それが普通の食べ方である程度では、コレステロール値が上がることはありません。
また、コレステロールは、人間の身体にとって必要なものです。コレステロールは、人間の体内で細胞膜を作ったり、ホルモンを生成したりするので、コレステロールがないと、人間は生きていくことができません。
以上により、「卵を食べるとコレステロール値が上がる」という説自体は信用しなくてよいです。

卵は1日1個まで?食べ過ぎてはダメ?

次に、「卵は1日1個まで」という説について、考えてみましょう。
卵には1個に210mgものコレステロールが入っているので、確かにその含有量が多いです。そこで、コレステロール値を気にして1日1個にしている人も多いでしょうし、1日に卵を2個以上食べると問題がある、という声もよく耳にします。
実際、卵の1日の適正摂取量はどのくらいなのでしょうか?
この点、厚生労働省の食品摂取基準が参考になります。
これは、厚生労働省が5年ごとに発表する基準で、日本人の健康維持や増進のために推奨される栄養素や摂取エネルギーについての基準です。
2010年に発表された基準において、1日のコレステロールの基準は、成人男性の場合に1日750mg未満であり、成人女性の場合には1日600mg未満でした。
しかし、その5年後の2015年に発表されたものでは、男女ともにコレステロールの基準が撤廃されたのです。つまり、基本的にコレステロールは食事からどれだけ摂ってもよい、ということです。
これは、コレステロールは、主に体内で生成される脂質なので、外から食事でとる分には影響を受けにくいということがわかったためです。実際、人間は肝臓でたくさんのコレステロールを合成しています。コレステロールは人間の細胞膜やホルモン、ビタミンDの材料になるもので、毎日必要なものだからです。食事から摂るコレステロールの場合、身体に吸収されるのは体内で作られる分の3分の1~7分の1くらいにしかならないのです。しかも、食事で摂る量が減ると、その分体内で生成される量が増えるので、食事から摂るコレステロールを減らしても影響が少ないのです。

結局、コレステロールの摂取量を減らしても、血中コレステロールを下げることにつながらないということです。
このようなことから、卵を1日1個までとする説には、あまり根拠はないと言えます。コレステロール値を下げたい場合でも、卵を1日1個に制限する必要性は小さいです。

卵をいくらでも食べて良いのか?

それでは、卵はどのような人でもいくらでも食べても良いのでしょうか?
実際、そこまでのことは言い切れないです。
まず、人間の体内で作られるコレステロールの量や消費量、消費方法には個人差が大きいですし、遺伝的な影響もあります。
そこで、食事によってコレステロールをどこまでとって良いのかということは、個人によって異なります。
コレステロールを取り込みやすい人や、すでにコレステロール値が高い人が多くのコレステロールを摂ると、やはり血中のコレステロール値に影響する可能性があります。
親が高コレステロールであった場合など、遺伝的にコレステロールが高くなりやすい人も、コレステロールの過剰な摂取には注意した方が良いです。
健康な人でも、過剰に摂取すると問題が起こる可能性があります。
たとえば、1日に4個も5個もの卵を食べ続けたら、やはり血中のコレステロール値に対する悪影響が起こる可能性があるので、常識的な範囲内に抑えるようにすると良いでしょう。

卵黄が含むレシチンは善玉コレステロールを増やす?

ところで、コレステロールには善玉コレステロールと悪玉コレステロールがあります。
善玉コレステロールとは、血中の悪玉コレステロールを回収して、肝臓に運ぶはたらきをするコレステロールです。そこで、善玉コレステロールが増えても、血中にコレステロールが溜まりすぎることはありません。
これに対し、悪玉コレステロールは、血管の壁に張り付くなどして血中に滞留します。このことによって、血栓や動脈硬化などの原因になります。
このように、悪玉コレステロールの濃度が高くなると、大きな悪影響があります。
さらに、善玉コレステロールが増えると悪玉コレステロールが減ります。そこで、悪玉コレステロールを減らしたい場合、善玉コレステロールを増やすことが効果的です。
ここで、卵に含まれている「レシチン」という物質が活躍します。レシチンは、善玉コレステロールを増やす働きをするので、レシチンを摂ると血中の悪玉コレステロールが減ります。レシチンは、納豆や豆腐などの大豆食品内にたくさん含まれていますが、卵黄にもレシチンが多量に含まれているので、卵を食べるとむしろ悪玉コレステロールを減らす効果もあります。

そこで、やはり卵を食べてもコレステロール値の悪化にはつながりにくいことがわかります。

悪玉コレステロール値を下げるのに効果的な食品・食べ物とは?も参考にどうぞ。

まとめ

以上のように、卵を食べてもコレステロール値の上昇にはつながりにくいです。食べ過ぎは良くないですが、1日1個などに制限する必要もありません。
今、コレステロール値を気にしている人も、卵を制限する必要性は少ないので、我慢せずに卵料理を楽しむようにすると良いでしょう。